ボルドー体験記

ボルドー体験記
~赤ワインと白壁に包まれた中世情緒あふれるフランス都市~

さて、WCVD8の実行委員である西藤公司は、大会準備委員会に参加するためこれまでに4回ほどボルドーへと行ってまいりました。ここではボルドーにおいて私が経験した体験談の中から、大会参加を検討されている皆様にお役に立てそうな情報をピックアップして提供したいと思います。

1.日本~ボルドーの移動

会員の皆様から、「ヨーロッパは航空運賃が高いからな~」という御意見を時々耳にします。しかしながらウェブサイトを確認する限り(平成27年8月28日現在)、往復運賃はJALでもANAでも最安値だと12万円以内(東京~ボルドー間、各種税金・燃油特別付加運賃込)ですので、WCVD7が開催されたバンクーバーと比較してもそれほど高額にはならないかと思います。

東京発の便(午前発)だと夕方~夜にパリのシャルル・ド・ゴール空港に到着するので、そのままフランスに入国し、同じ空港からエールフランスでボルドー空港まで移動するのが便利です。シャルル・ド・ゴール空港はとても大きな空港で、到着してすぐにその広さに圧倒されます。

シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内のオルリー空港までシャトルバスで移動し、そこからボルドー空港まで空路で移動する方法もあります。私も一度利用しましたが、案内文がフランス語で書かれていることを除けば、移動は比較的簡単です。ただしパリ市内で夕方の渋滞時間にかかることがあるので、個人的にはあまりお勧めはしません。海外の航空会社だと、アムステルダム経由(KLMオランダ航空)やロンドン経由(British Airways)便もあるようです。ボルドー空港にある手荷物受取所にはワインボトルの大型オブジェがあり、ワイン好きの方ならきっと心躍る事と思われます。ボルドー空港から市内までは、タクシーなどを利用すれば20分くらいです。

ボルドーへの移動前後にパリ市内を観光される方は、TGVの特急でパリ~ボルドー間を移動するのも、旅情があってよいかもしれません。

パリのシャルル・ド・ゴール空港
パリのシャルル・ド・ゴール空港

パリのシャルル・ド・ゴール空港。とにかく広い!

シャトルバスでオルリー空港へ。
パリ市内での渋滞には困った。

シャトルバスでオルリー空港へ。パリ市内での渋滞には困った。

ボルドー空港にある手荷物受取所
ボルドー空港にある手荷物受取所

ボルドー空港にある手荷物受取所

2.気候

5月末~6月初めのボルドーの気温は、昼間は東京とそれほど変わらずとても過ごしやすいです。夜は少し冷え込むことがあるので、羽織るための上着を持参した方がよいと思います。私は上記の季節には、いつも薄手のジャケットを羽織っています。

日没時刻はいかにもヨーロッパで、午後9時30分~10時頃ととても遅いです。オープンテラスのレストランに行くと、降り注ぐ日光の下で夕食とともにワインやシードル(林檎酒)、フランスビール(意外と旨い)などを堪能することができます。私がボルドーにいた日は晴れの日が圧倒的に多かったですが、雨が降る日はかなりしっかりと降るので、折りたたみ傘は必ず持参してください。

午後9時過ぎのボルドー市内

午後9時過ぎのボルドー市内

3.大会会場(Palais des Congrès Bordeaux)

大会会場はボルドー郊外のアウトドアイベントで有名な湖(Le Lac)の畔にあります。会場周囲には会場隣接のPullmanやNovotelなどのホテルが並んでいるため、なるべく会場の近くに宿泊したい方は、湖畔のホテルに宿泊されるのが良いと思います。湖の周囲は緑豊かな美しい場所で、散歩やジョギングを楽しまれる方には絶好かと思います。また湖の北側には公園やゴルフ場などがあるそうです。

会場の前には市電の駅があり、20分ほどで市街地まで移動できるそうです。ボルドー市内の建築物や観光地、ショッピングなどを楽しみたい方は、市街地のホテルに宿泊して会場まで市電で移動するのが良いと思います。

会場は2階建ての白い建物で、歴史あるボルドー市の風情とは異なり、築12年のモダンな建物です。建物は内部に太陽光を最大限に取り入れる構造となっており、晴れた日には廊下の光が眩しく感じられるくらいです。会場の内部には大小様々なセミナールームがあります。一般獣医師向けの教育講演(日本語同時通訳あり)が連日開催されるAmphitheatre Aは、2階席も含めると全部で1,293席もあり、獣医学系の国際大会でもなかなかお目にかかれないほど圧巻の大ホールです。この部屋では講演中に照明を落としている間も、参加者が会場内を安全に移動できるよう、通路や階段の縁にはブルーライトが敷き詰められているなど、実にきめ細やかな配慮が施されています。企業ブースやポスターが並ぶショールームもとても広く、参加者の先生方がゆったりとブースやポスター、昼食やコーヒーブレークを楽しむのに十分なスペースが確保されています。

会場の隣にはカジノやバーがありますが、大会期間中に利用できるかはよくわかりません。カジノの中にもセミナーに利用できそうなホールがあり、関係者に「日本人向けセミナーにどう?」と勧められましたが、雰囲気がいかがわしかったので丁重にお断りしました。

会場前の駅に到着したトラム。トラムの向こう側には湖が広がる

会場前の駅に到着したトラム。トラムの向こう側には湖が広がる

大会会場の外観

大会会場の外観

Amphitheatre A

Amphitheatre A

会場の窓から見たPullmanホテル

会場の窓から見たPullmanホテル

大会会場の隣にあるカジノ

大会会場の隣にあるカジノ

4.大会期間中のイベント会場

大会期間中の最大のソーシャル・イベントといえば、やはり金曜の夜にシャトー・ジスクール(Chateau Giscours)で開催される「ボルドー・ナイト」でしょう。何でもジスクールはメドック3級に格付けされたシャトーとのことで、ボルドー地方にあるあらゆるシャトーの中でも高品質の赤ワインを生産する名門とされています。敷地内にはブドウ畑や醸造所の他にも、入り口には美しい庭園が拡がり、その奥にはパーティー会場となる屋根付会場と屋外会場(雨天時には一部をテントで覆う予定)があります。さらに奥にはグラウンドのような広場があり、バンド演奏やDJ、ダンスなどが楽しめるそうです。

現地に行って初めて知ったのですが、棚栽培される日本のブドウとは違い、ボルドーのブドウは人の背丈よりも低く、収穫時にはみんな腰をかがめて収穫するのだそうです。あとブドウ栽培には水はけの良い土地が適しているため、ボルドーのブドウ畑は河川から流れてきた砂礫が堆積した場所に作られたのだそうです。ブドウ畑の土地に砂利や小石がごろごろしているのを見たときは、少なからず驚いたものでした。

他にもボルドー地方には、ワイン好きの方なら皆様ご存じの有名シャトーがたくさんあります(という私はワインに疎いので豚に真珠ですが)。ボルドー市内から少し足を伸ばして、日本語ガイド付のシャトーツアーに参加してみるのも楽しいでしょう。

ボルドー・ナイトの会場となるシャトー・ジスクール

ボルドー・ナイトの会場となるシャトー・ジスクール

ボルドーにあるブドウ畑。
ボルドーにあるブドウ畑。

ボルドーにあるブドウ畑。手前のバラと比べると樹丈の低さがわかると思います。

5.ボルドー市内の楽しみ方

と書いてみたものの現地にいる間はほとんど観光をしていないので(朝から晩まで会議漬け)、知っている範囲で書きたいと思います。

街全体の風景:ボルドーの建築物は主に石灰岩で出来ているため、歴史ある建築物はどれも白壁と白い柱からなるとても綺麗な建物です。この石灰岩ですが、ボルドーワインの生産地ではメドック地方と並んで有名なサンテミリオン地方から、18世紀に切り出されたのだそうです。以前は自動車の排気ガスで街中の白壁が真っ黒になってしまったのですが、以前のボルドー市長が「街に白壁を取り戻そう!」と建物清掃代に大規模予算を投入したそうで、いまは街中のどこに行っても白壁の美しい建物を見ることが出来ます。市内は徒歩でも散策できますが、レンタル自転車もあるそうです。

ボルドー市内にある白壁の教会

ボルドー市内にある白壁の教会

ボルドー市内にある白壁の教会(清掃前)

ボルドー市内にある白壁の教会(清掃前)

国立オペラハウス(Opéra National de Bordeaux):ガロン右川沿いから少し西側に入ったシャポー・ルージュ広場の前にあります。18世紀に建築された白壁・白い柱の建築物で、フランスで最も美しい劇場と言われているそうです。

国立オペラハウス

国立オペラハウス

ブルズ広場(Place de la Bourse):ガロンヌ川沿いにある広場で、ボルドーの表玄関と呼ばれており、その写真がWCVD8のバナーに掲載されています。平らな敷石に水を張った「水鏡」があり、広場の周囲にある旧証券取引所などが夜にライトアップされると、そのライト水鏡に反射してとても幻想的です(昼間は子供達が水を跳ね飛ばしながら走り回っていますが)。川沿いの通りには綺麗な花畑がたくさんあり、市民の憩いの場となっているようです。また広場から川を見渡すと、ガロンヌ川で最古の橋であるピエール橋を見ることが出来ます。

ブルズ広場の水鏡と旧証券取引所

ブルズ広場の水鏡と旧証券取引所

ブルズ広場の水鏡と旧証券取引所

旧証券取引所内にある大フロア

カンコンス広場(Place des Quinconces):ガロンヌ川に面した広大な広場で、欧州最大の広場だそうです。中には中世の雰囲気漂う記念碑や噴水などがあり、広場の周囲にはプラタナスの大木が植えられています。広場の正面には、ガロンヌ川遊覧船の船着き場があります。

カンコンス広場

カンコンス広場

セントカトリーヌ通り(Rue Sainte-Catherine):欧州で最も長い歩行者天国で、ショッピングや散策するのに楽しそうな場所です。すぐ近くに世界遺産にも登録されている聖アンドレ大聖堂(Cathédrale Saint-André)という、11~12世紀に建立されたゴシック様式の大聖堂があります。

聖アンドレ大聖堂

聖アンドレ大聖堂

他にもボルドー地域には観光地が多数あるので、是非ガイドブックを片手に市内散策してみてください。

6.ボルドーワインとフランス料理

ボルドーで飲んだ赤ワインのおいしさは、私にとって目から鱗でした。ボルドーに行くまでは「どうせ酔っぱらったら味なんてわからん!」という貧乏人根性丸出しの私でしたが、現地に行ってからは生意気にもハウスワインの赤が飲みにくく感じるようになってしまいました。ちなみにボルドーは白ワインもかなり美味しく、ざっくりと言えばカリフォルニアやオーストラリアよりも酵母が多くて芳醇に感じます。

ボルドーといえば鴨などの鶏料理が有名らしく、私も会議期間中にいただきましたが、味の深みには本当に驚きました。これもざっくりとした表現ですが、和食では素材の味をそのまま楽しむのに対し、ボルドーの料理では複数の隠し味によるハーモニーを楽しむといった感じでしょうか。また日曜の午前にはガロンヌ川沿いで朝市があり、鶏の丸焼きやエスカルゴなどが調理されて販売されていました。

ボルドー近郊にはアルカッション(Arcachon)という海沿いのリゾート地があり、そのためかボルドー市内にはシーフード店も多いです。ただし貝の盛り合わせを注文すると、大皿に色んな生貝が「てんこ盛り」されたものとパンだけが配膳されてきます。生貝はそれなりの確立で食あたりするのでご注意ください(私も含め実行委員の数名が悶絶した)。大会期間中は生貝を避けた方が賢明かもしれません。

現地で初めて知ったのですが「肉料理には赤ワイン」「魚料理に白ワイン」というのは、もしかすると日本人の固定観念かもしれません。フランス人たちは「別に白ワインが合う肉料理もあれば、赤ワインが合う魚料理もあるよ」といっていました。あと「フランス人は昼からコース料理を食べる」と言われていますが、正確には「昼食でコース料理を食べるが夕食はパンとスープ料理だけとか極めて質素」なのだそうです。

あとボルドーに行く以上、カヌレ(cannelé)を避けて通ることはできません。ご存じの通り卵黄などで出来た洋菓子で、ワインの澱を取り除くために卵白を使用した後、余った卵黄をお菓子にしたのが発祥だそうです。

他にも肉料理から魚料理まで、学会期間中は本場のフランス料理を存分に堪能できることと思います。この機会を逃す理由はありません!